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工房の主人

-映画を「見つける」までの、長い長い道のり(4/5)-

惰性
クロアチアにやってきた。
僕はまた、一人だった。

今までの景色が嘘のように、
アドリア海は美しかった。
それが、僕には酷だった。
チェコ、ハンガリー・・・
重厚な建物、歴史が刻まれた街並み。
早く日本に帰りたい。
しかしロシア行きの切符を買ってしまっていた。

この時の気持ちの目で見た景色を残したくない。
僕はほとんど写真を撮らなかった。


旅の終わり
寝台列車で一緒だったロシア人に、街を案内してもらった。
いつか写真で見たことのある景色。
久しぶりの興奮が、うれしかった。
シベリア鉄道は走り出した。
東へ。
日本の方向だ。
ずっと本を読んでいた。
ずっと景色は変わらない。
ずっと無口だった。

列車を降りるとき、同室の男性二人が見送ってくれた。
そして、初めて笑顔を見せた。
話しかければよかったんだ。

沈む夕日を、見ながら思った。
「明日は、日本だ」


行動開始!
そして、東京。
目をそむけて逃げてきたことが山ほどあった。
それを一つずつつぶしていってやろう。

自分のやりたいことが未だ分からない。
それでもいい。
お金でなんとかなる夢もある。
時間でなんとかなる夢もある。

表現したいものが、たまってきている気がした。
言いたいことが、うごめいている気がした。

もう、十分過ぎるほど、悩んだ。
もうたくさんだ。

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