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from Kei

『トライベッカ・フィルム・フェスティバル』3

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『Mysterious Skin』は、BrianとNeilという二人の少年が、所属していた野球チームの監督に性的にいたずらを受け、その経験とどう折り合いを見いだしていくか、というストーリー。
Brianは”その時”の記憶から自分を守る防衛本能で”宇宙人に出会った”という記憶とすり変えて、いつも突発的に鼻血を出してしまう。そして自分に数時間記憶があいまいになっている部分があることに苦しんでいた。彼は見るからに傷ついた小鳥だった。
一方、Neilはその経験をアトラクションの一つであったかのように立派な(?)ハスラーに成長し、gayの世界を謳歌し自らを外へ外へ発散していく。 しかし一見タフに見えた彼も、傷付いていた。

二人は傷つけられた自分をそれぞれの方法で紡ぎ出した膜で覆ってその中でずっと震え続けてきたのだった。しかし隠し続ける事はできない。抑え込んできたものを外に出してあげる行為。解放の時は必ずやってこなければならない。 アラキ監督はそんな二人の痛みを優しい目線で解きにユーモラスに時にロマンチックに解放へと導く物語を届けてくれた。

余談になりますが、Neil役のJoseph Gorden Levitt君が実は映画上映中私と友人の隣に座って一緒に鑑賞していた事を知りびっくり!
途中、誰かが座ったなとは思ったのですが、暗くて気付かなかった…。 握手くらいしてもらえば良かった…チッ!(笑)
また、終了後、アラキ監督、出演者との質疑応答もありました。こういう交流の場が持てるのが、映画祭ならではの楽しみでもあるんですよね。

今回はたった2作品でしたが、それでも十分この映画祭の魅力を味わえたような気がします。 またいつか参加したいなと思います。 (そしてその時はもっときちんと防寒対策しようと思います。連日、と言っても二日間ですが、寒い中立ち尽くしてたので風邪をひいてしまいました…)

 


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